子供を虐待から守るために
2020年4月6日
子供の虐待やいじめといった問題を認識し、それに対してどのように対処すればよいか、という講習会に参加してきました。
学校関係者や子供と接するお仕事をしている人は、こういった講習会に参加することが義務付けられています。
イギリスでも家庭内での虐待や育児放棄といった問題は後をたちませんし、社会構造が複雑かつ貧困の差が激しいので、通常の虐待の他にも日本ではあまり聞かないような子供の奴隷売買や、近年ではテロへ走る若者といった問題も出てきています。
報告されているだけで年間5万件以上の虐待(2018年調べ)が行われていますが、これは氷山の一角ですね。
留学生の場合は、その地区を管理しているソーシャルワーカーやローカルオーソリティーオフィサーにお世話になることはあまりないでしょうが、
イギリスの学校や地域がどのように子供の虐待やいじめ問題に対処しているのか、知っておくにこしたことはありません。
学校だと子供の安全に関するポリシーがウエブサイトなどで閲覧可能になっていたり、必ず訓練を受けた専門のスタッフが常駐していなければいけません。教師やスタッフがこういった講習会に1年に1度参加することも義務付けられています。
各自の個人情報は専門のソフトで管理され、アクセスすれば過去の虐待の履歴を見れるようになっています。
各機関で別々のソフトを使っているので、センターで一括して見ることが出来ないのが課題のようですが。
個々のケースは危険度1~4に分けられ、危険度にあわせてどのようにヘルプするか、どこにコンタクトすればよいか、が変わってきます。
児童福祉士、地区の責任者、ヘルスビジター、GP(かかりつけ医)、警察など、たくさんの人が関わることになるので、連携して働くことが大切です。
勉強会では、どういうことが虐待にあたるのかを学んだり、
それぞれの学校でどのように取り組んでいるかを発表したり(参加者のほとんどが学校で働いていました)、
虐待やいじめの具体的なケースをグループで話し合ったり、
他人まかせにせず、1人1人が真剣に取り組むべき問題であることを認識させられました。
日本よりもシステムがしっかり確立しているなという印象ですが、それでも虐待で命を落とす子供はやはりいるので、実際にどの程度機能しているのかはわかりませんけど。
ただ、もし不幸にも子供の命が奪われた場合、加害者の刑罰が日本よりもずっと厳しいように思います。
たしか10年前の事件では、親は終身刑、防げなかったソーシャルサービスのトップは解雇されました。
子供は親のものではなく、社会の財産という認識なのでしょうね。
とても勉強になった1日でした